相続発生・死後事務対応のスケジュール⑥

相続発生・死後事務対応のスケジュール解説 第6弾です。
今回の内容をより深くご理解いただくために、ぜひ前回の内容も併せてご確認ください。
(3)相続発生後速やかに行う手続き
⑧高額療養費の払戻し申請
高額療養費は、1か月の間に医療機関等で支払った医療費の自己負担額が自己負担限度額を超えた場合に、その超えた金額が払い戻される制度です。したがって、被相続人が国民健康保険などの医療保険に加入しており、死亡直前において高額の医療費を負担していた場合、相続人等は被相続人が受け取るべき未請求の高額療養費の請求が可能です。ただし、自費診療や入院時の食費負担、差額ベッド代等は高額療養費制度の対象にはなりません。なお、被相続人が受け取るべき高額療養費を相続の開始後に相続人等が受け取った場合、被相続人の相続財産となるため遺産分割の対象となります。また、相続放棄を検討している場合は受け取らないように注意が必要です。
国民健康保険・後期高齢者医療保険 | 健康保険 | |
請求先 | 被相続人の住所地の市区町村役場 | 協会けんぽまたは健康保険組合 |
請求期限 | 診療を受けた月の翌月初日から2年以内 ※ | |
請求可能な人 | 原則、法定相続人の代表者 | |
提出書類 | 高額療養費支給申請書 | |
添付書類など 必要なもの ※ | ・該当月分の医療機関からの領収書のコピー ・被保険者との続柄がわかる戸籍謄本等 ・委任状(代理人が提出する場合) 請求先によって申立書や本人確認書類など他の書類も必要になることがあります。 |
※令和7年7月1日に診療を受けた場合、令和7年8月1日から2年以内となります。
⑨高額介護(予防)サービス費の払戻し申請
高額介護(予防)サービス費は、1か月の間に介護サービスを利用して支払った 1~3割の自己負担額が自己負担限度額を超えた場合に、その超えた金額が払い戻される制度です。
したがって、⑧の高額療養費同様、介護サービス費についても1か月の自己負担額が自己負担限度額を超える場合、相続人等は被相続人が受け取るべき未請求の高額介護サービス費の請求が可能です。ただし、施設サービスなどの食事代や居住費、福祉用具購入費などは含まれません。
なお、⑧同様、被相続人が受け取るべき高額介護(予防)サービス費を相続の開始後に相続人等が受け取った場合、被相続人の相続財産となるため遺産分割の対象となります。また、相続放棄を検討している場合は受け取らないように注意が必要です。
請求先 | 被相続人の住所地の市区町村役場 |
請求期限 | 介護サービスを受けた月の翌月初日から2年以内 |
請求可能な人 | 原則、法定相続人の代表者 |
提出書類 | 高額介護 (予防)サービス費の支給申請書 |
添付書類など 必要なもの | ・被保険者との続柄がわかる戸籍謄本等 ・委任状(代理人が提出する場合) 請求先によって申立書や本人確認書類など他の書類も必要になることがあります。 |
⑩高額医療・高額介護合算療養費の払戻し申請
高額医療・高額介護合算療養費は、医療保険と介護保険の両方のサービスを利用している世帯について、1年間 (毎年8月 1日~翌年7月31日)の介護保険と医療保険の自己負担額の合計額が自己負担限度額を超えた場合に、その超えた金額が医療保険と介護保険からそれぞれの比率に合わせて払い戻される制度です。
したがって、⑧、⑨と同様、医療費と介護サービス費の1年間の自己負担額の合計額が自己負担限度額を超える場合、相続人等は被相続人が受け取るべき未請求の高額医療・高額介護合算療養費の請求が可能です。
国民健康保険・後期高齢者医療保険 | 健康保険 | |
請求先 | 被相続人の住所地の市区町村役場 | 協会けんぽまたは健康保険組合 |
請求期限 | 相続の開始の日の翌日から2年間 | |
請求可能な人 | 原則、法定相続人の代表者 | |
提出書類 | 高額介護合算療養費・高額医療合算介護サービス費等支給申請書 | |
添付書類など 必要なもの | ・被保険者との続柄がわかる戸籍謄本等 ・委任状(代理人が提出する場合) 請求先によって申立書や本人確認書類など他の書類も必要になることがあります。 |
なお、高額療養費や高額介護サービス費の支給を受けている場合は、その支給額を控除した金額が支給されます。
また、⑧、⑨同様、被相続人が受け取るべき高額医療・高額介護合算療養費を、相続人等が相続の開始後に受け取った場合、被相続人の相続財産となるため遺産分割の対象となります。また、相続放棄を検討している場合は受け取らないように注意が必要です。
次号、相続発生・死後事務対応のスケジュール⑦へ続きます▶▶