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相続手続きの第一歩!相続人の確認①

周 奎植税理士事務所

(1)戸籍の収集

相続手続きを進める上で、避けて通れないのが戸籍収集です。誰が相続人なのかを正確に確定させるために、被相続人(亡くなった方)と相続人全員の戸籍を集める必要があります。
この戸籍収集は、意外と手間と時間がかかる作業。ここでは、戸籍収集をスムーズに進めるためのポイントを3つのステップに分けて解説します。

ステップ1:被相続人の「死亡時点」と「出生まで遡った」戸籍を集める

まずは、亡くなった方の戸籍を集めます。

1.死亡時点の戸籍を集める
被相続人の死亡の事実が記載されている戸籍が必要です。本籍地の市区町村役場に請求します。住所と本籍地が異なる場合は、まず最後の住所地の役場に請求すると、本籍地を教えてもらえます。ただし、戸籍に死亡の事実が記載されるのは、死亡届の提出から2週間程度の期間を要します。
戸籍は、「一組の夫婦と、その夫婦と同じ姓を持つ未婚の子ども」で一つのまとまりとして作られています。そのため、亡くなった方の戸籍を見ると、その時点での配偶者や未婚の子どもの情報が確認できます。ただし、配偶者がすでに亡くなっていたり、子どもが結婚などで戸籍から抜けている場合は、戸籍の構成員が誰もいなくなってしまいます。このように誰もいなくなった戸籍のことを「除籍」と呼びます。構成員が全員いなくなってしまった場合は除籍を取得することになります。

2.出生まで遡って戸籍を集める
相続人を漏れなく確認するには、被相続人の「出生から死亡まで」のすべての戸籍が必要です。 戸籍は、結婚や本籍地の移動(転籍)、法改正などによって新しく作り直されることがあります。新しい戸籍には、すでに戸籍から抜けた人の情報は記載されません。そのため、過去に遡って戸籍をたどっていく必要があるのです。
なお、転籍前の戸籍(原戸籍)は、転籍前の本籍地の役場に請求します。



ワンポイント☝ 広域交付制度を活用して、戸籍をまとめて取得しよう!

令和6年3月1日からは、戸籍の広域交付制度が始まりました。これにより、本籍地が遠方にある場合でも、最寄りの市区町村役場の窓口でまとめて戸籍を請求できるようになりました。

 ・広域交付で取得できる書類:戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本 ※戸籍抄本は取得不可
 ・注意点:この制度を利用できるのは、本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、
      直系卑属(子、孫など)に限られます。また、郵送や代理人による請求は対象外です。

また、郵送によっても戸籍の請求を行うことが可能です。

〔戸籍の郵送請求に必要な書類〕
 a 交付申請書(一般的には市区町村のホームページにて取得可能です。)
 b 手数料相当分の郵便局「定額小為替」
  ※原戸籍が全部で何通になるかは事前確認が行えないため、多めの金額を同封する必要があります。
 c 本人確認書類(写し可)
 d 返信用封筒と返信用切手(返信先は上記Cで確認可能な住所に限ります。)




ステップ2:相続人全員の現在の戸籍を集める

次に、相続人全員の戸籍を集めます。
被相続人の戸籍からすでに抜けている相続人(結婚した子など)については、現在の戸籍を取得する必要があります。

また、相続人の状況によっては、以下のような追加書類が必要になるケースがあります。

 ◆親や祖父母が相続人になる場合:被相続人の子や孫がすでに亡くなっていることを証明する戸籍謄本
                 (子や孫が相続放棄をした場合には相続放棄申述受理証明書など)
 ◆兄弟姉妹が相続人になる場合:被相続人の親や祖父母がすでに亡くなっていることを証明する戸籍謄本
                (子、孫、親、祖父母が相続放棄をした場合には、相続放棄申述受理証明書など)
 ◆数次相続が発生している場合:先に亡くなった被相続人と、その相続人(数次相続人)それぞれの戸籍
 ◆外国籍の相続人がいる場合:出生証明書や婚姻証明書など、戸籍に代わる書類と日本語訳

ステップ3:専門家への依頼も検討しよう

戸籍収集は、非常に複雑で時間のかかる作業です。 「自分で全て集めるのは難しい…」と感じたら、弁護士や司法書士、税理士、行政書士といった専門家への依頼も有効な手段です。 専門家は、業務上の権限(職務上請求)を使って、委任状がなくても戸籍を請求できます。
相続人ご自身で戸籍を全て集めるのが困難な場合は、お気軽に当事務所までご相談ください。相続に精通した税理士が、手続きを丁寧にサポートいたします!



<知っておくと便利な豆知識>

 ・戸籍謄本と戸籍抄本の違い
   *戸籍謄本:同じ戸籍に載っている全員分の情報
   *戸籍抄本:戸籍内の特定の1人分の情報
 ・コンビニでの戸籍交付 :マイナンバーカードを持っていれば、コンビニの端末で戸籍や住民票を取得できます。
             ※本籍地以外の市区町村の証明書を取得する場合は、事前に利用登録が必要です。
 ・戸籍への氏名のフリガナ記載 :令和7年5月26日から、戸籍に氏名のフリガナが記載される制度が始まりました。


次号、相続手続きの第一歩!相続人の確認②へ続きます▶▶