相続手続きの第一歩!相続人の確認③

相続手続きの第一歩!相続人の確認 第3弾です。
今回の内容をより深くご理解いただくために、ぜひ前回の内容も併せてご確認ください。
(3)法定相続情報証明制度の活用
相続手続きでは、多くの金融機関や役所などで、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍をすべて提出する必要があります。戸籍の数が多く、手続きが煩雑になることも少なくありません。
そこでぜひ活用したいのが、「法定相続情報証明制度」です。
これは、法務局に戸籍一式を提出して申し出ることで、相続人全員の関係が分かりやすくまとまった「法定相続情報一覧図」を発行してもらえる制度です。
①この制度を利用するメリット
・手続きが大幅に効率化できる
金融機関などで戸籍一式を何度も提出する必要がなくなります。
複数の手続きを同時に進められるため、相続手続きにかかる時間が短縮できます。
・無料で複数枚発行できる
必要な枚数の一覧図を無料で発行してもらえるため、戸籍一式をコピーしたり、原本を
郵送したりする手間が省けます。
・相続人の確認ミスを防げる
法務局が戸籍の内容をチェックしてくれるため、相続人の範囲を誤って判断してしまうリスクを
なくすことができます。
・窓口での手続きがスムーズに
複雑な戸籍の束ではなく、シンプルな1枚の書類を提示するだけで良くなるため、
各機関の窓口での対応がスムーズになります。
②制度を利用する際の注意点
・相続放棄は反映されない
法定相続情報一覧図には、相続放棄の内容は反映されません。相続放棄によって相続人の順位が
変更になる場合(兄弟姉妹が相続人となるケースなど)は、この制度を利用できません。
・外国籍の方には利用できない
被相続人または相続人に日本国籍がない場合は、戸籍謄本を提出できないため、この制度は利用できません。
・相続人に変動があった場合は再申請が必要
被相続人の死亡後に胎児が無事に生まれた場合など、相続人の範囲に変動があった際は、
再度法務局に申し出て、一覧図を再交付してもらう必要があります。
③申出に必要な書類
■法定相続情報一覧図 (自身で作成します)
■法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書
■被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本
■被相続人の住民票の除票 (戸籍の附票でも可)
■相続人の戸籍謄抄本
■申出人(相続人代表)の氏名等を証する公的書類
【以下に例示する書類のいずれか一つ】
・住民票記載事項証明書(住民票の写し)
・運転免許証の両面またはマイナンバーカードのコピー
(必ず「原本と相違ない」旨を記載し、申出人の記名が必要です。)
※上記以外の書類を用いる場合は、法務局に確認が必要です。
■証明書に各相続人の住所を記載する場合 (任意選択)は、各相続人の住民票の写し
■委任状 (代理人が申出の手続きをする場合)
■代理人が親族である場合には、親族関係がわかる戸籍謄本
■代理人が資格者代理人である場合は資格団体の身分証明書の写し(税理士証票等)
(4)相続放棄
相続は、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。 もし、亡くなった方(被相続人)の借金が財産を上回っている場合や、特定の相続人に財産を譲りたい場合などに有効なのが、「相続放棄」です。
<相続放棄とは?>
相続放棄とは、文字通り「相続する権利を捨てる」ことです。 相続放棄をすると、その人は最初から相続人ではなかったとみなされます。
これにより、相続権は次の順位の相続人へと移ります。 ただし、ここで注意が必要です。相続放棄は「代襲相続」の理由にはなりません。例えば、お子さんが相続放棄をしても、そのお子さんの子ども(被相続人から見て孫)に相続権が移ることはありません。
<相続放棄の手続き>
相続放棄は、相続が始まったことを知ってから3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。
3ヶ月という期間は意外と短く、財産や借金の状況を十分に調査する時間が確保できないこともあります。もし判断がつかない場合は、家庭裁判所に申し出て、この期間を延長してもらうことも可能です。
<手続きに必要な書類>
■相続放棄の申述書
■被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
■申述人(相続放棄をする人)が相続人であることを証明する戸籍謄本一式
<相続放棄が受理されたら>
相続放棄の申述が家庭裁判所に受理されると、「相続放棄申述受理通知書」が交付されます。 この書類は、相続放棄が正式に認められたことを証明する重要な書類です。
他の相続人や利害関係者が、特定の誰かが相続放棄をした事実を確認したい場合には、「相続放棄申述受理証明書」を取得することで確認できます。また、後順位の相続人が不動産の相続登記を行う際にも、この証明書が必要になります。
相続放棄は、手続きの期限や必要書類など、専門的な知識が不可欠です。
ご自身での判断が難しい場合は、お気軽に当事務所にご相談ください!
お客様の状況に合わせて、適切なアドバイスとサポートをさせていただきます。
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