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コラム

相続発生・死後事務対応のスケジュール②

周 奎植税理士事務所

相続発生・死後事務対応のスケジュール解説 第2弾です。
今回の内容をより深くご理解いただくために、ぜひ前回の内容も併せてご確認ください。

(2)相続発生直後に行う手続き

① 年金の受給停止手続き
被相続人が公的年金を受給していた場合、遺族等は、「年金受給権者死亡届」を年金事務所などに提出する必要があります。ただし、日本年金機構に被相続人のマイナンバーが収録されている場合、原則として手続きの省略が可能です。収録状況については、被相続人のねんきんネットや年金事務所への確認により知ることができます。
なお、年金受給権者死亡届の届出義務者も死亡届の届出義務者と同様となっています。

提出先年金事務所または年金相談センター
提出期限国民年金:被相続人の死亡日から14日以内
厚生年金:被相続人の死亡日から10日以内
届出義務者親族、同居人、家主、後見人等
提出書類年金受給権者死亡届
添付書類など・被相続人の年金証書
・被相続人の死亡を明らかにできる書類(死亡診断書のコピー等)
・委任状(代理人が届出する場合)

② 世帯主の変更届の提出
世帯主が亡くなった場合、残りの世帯員に15歳以上の人が2人以上いる世帯は、「世帯主の変更届(住民異動届)」の提出が必要となります。

提出先世帯主の住所地の市区町村役場
提出期限世帯主の死亡から14日以内
届出可能な人変更後の世帯主、同一の世帯員又は世帯主の代理人
提出書類住民異動届出
添付書類など・申請者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
・申請者の印鑑(認印で可、届出人が自署の場合は不要)
・(加入している場合)国民健康保険の被保険者証
・委任状(代理人が届出する場合)

③ 医療保険の資格喪失手続き

a.国民健康保険または後期高齢者医療保険の被保険者が亡くなった場合

亡くなった被保険者の資格を喪失するためには、「資格喪失の届出」と「被保険者証等の返却」が必要となります。
なお、市区町村役場によっては死亡届を提出することにより、資格喪失届の提出が不要となるところもあります。
ただし、被保険者証等の返却は必要です。資格を喪失することにより、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料の精算が行われます。精算金額のうち相続の開始の日以前に支払った保険料の還付金は相続財産に該当し、納付額は債務となります。

提出先死亡した被保険者の住所地の市区町村役場
提出期限被保険者の死亡から14日以内
届出可能な人世帯主、同一の世帯員又は世帯主の代理人
提出書類・国民健康保険資格喪失届
・後期高齢者医療障害認定申請書及び資格取得(変更・喪失)届出書
返却物・国民健康保険被保険者証(世帯主の死亡の場合は世帯全員分)
・国民健康保険高齢受給者証
・後期高齢者医療被保険者証 など
添付書類など・死亡を証明する書類(死亡届のコピー等)
・届出人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
・死亡した被保険者のマイナンバーが分かる書類
・申請者の印鑑(認印で可、届出人が自署の場合は不要)
・委任状(代理人が届出する場合)

b. 健康保険の被保険者が亡くなった場合

健康保険の資格喪失手続きは、基本的に事業主が行います。ただし、亡くなった被保険者に扶養されていた家族で相続の開始後すぐに仕事に就かない者は、相続の開始後14日以内に自身で国民健康保険に加入するか、もしくは健康保険の被保険者となっている他の家族の扶養に入る必要があります。
また、被相続人の厚生年金保険の被扶養者であった配偶者は、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の手続きを、相続の開始後14日以内に自身の住所地の市区町村役場に行う必要があります。
なお、事業主は被保険者が亡くなった日から5日以内に、事業所の所在地を管轄する年金事務所に資格喪失の手続きと健康保険証の返却を行う必要があります。

④ 介護保険の資格喪失手続き
介護保険の被保険者が亡くなった場合、被相続人の介護保険の資格を喪失するためには、「資格喪失の届出」と「被保険者証等の返却」が必要です。ただし、手続きが必要なのは65歳以上の被保険者、40歳以上65歳未満の医療保険加入者で要介護・要支援認定を受けていた被保険者のみとなります。
なお、市区町村によっては死亡届を提出することにより、資格喪失届の提出が不要となるところもあります。
ただし、被保険者証等の返却は必要です。

提出先死亡した被保険者の住所地の市区町村役場
提出期限被保険者の死亡から14日以内
届出可能な人誰でも可能(委任状不要)
提出書類介護保険資格喪失届
返却物・介護保険被保険者
・介護保険負担限度額認定証(認定を受けていた者のみ)
添付書類など・死亡を証明する書類(死亡届のコピー等)
・届出人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
・死亡した被保険者のマイナンバーが分かる書類
・申請者の印鑑(認印で可、届出人が自署の場合は不要)

介護保険料についても、③の国民健康保険料や後期高齢者医療保険料同様、資格喪失後に保険料の精算が行われます。精算金額のうち相続の開始の日以前に支払った保険料の還付金は相続財産に該当し、納付額は債務となります。


次号、相続発生・死後事務対応のスケジュール③へ続きます▶▶